明日香村観光

晴れ朝6時半起床。 荷物は全て自宅に発送してあるので、身軽な状態で7時にホテルをチェックアウト。 今日は夕方まで奈良県を観光する。
今日向かうのは「明日香村」という所、奈良県中央部にある村。

近鉄新大宮駅まで1kmくらいなので、ホテルから歩いていき、そこから電車で。 一昨日下りた「大和西大寺駅」で橿原線に乗り換えて16駅目が橿原神宮前駅。 そこから吉野線に乗り換えて2駅目、「飛鳥駅」に到着した。 1時間半くらいかかった。
飛鳥駅

まだ朝ごはんを食べてないので、駅前にある「珈琲の館御園」という喫茶店で740円のモーニング。 値段の割に良いモーニングだった、PayPayも使えた。
喫茶店から出たら、目の前の産直にテレビカメラが来ていた、何かの取材しているのかな?
珈琲の館御園 モーニング

駅前の「明日香レンタルサイクル」という店で、電動アシスト自転車を借りる。 WEBクーポン表示で200円引きなので、1,300円で借りることができた。

奈良市からわざわざ1時間半もかけて明日香に来たが、ここには有名な古墳がある。 それを見に来たのだ。 坂がある場所もあるけれど、観光できる地域はそれほど広くないので、自転車で十分に回れる。 むしろ狭い場所や駐車場がない場所もあるので、自転車の方が車よりも便利かもしれない。

まずは「高松塚古墳」。 この古墳が何で有名なのかはリンク先を見た方が詳しくてわかりやすいけれど、国内に2つしか見つかってない石室に描かれた壁画が、日本で最初に発見された古墳。 誰が埋葬されていたのか、誰が描いたのかなど一切不明だが、描かれた年代は残っていた遺物などから「694年~710年」と特定されている。 1,300年も前に描かれて、地中でずっと眠っていた壁画。 古墳自体は元あった場所に復元という形で作られているので、今は綺麗に整備されてるので、古墳自体に価値はないかもしれないけれど、その場所を訪れて見たかった。
高松塚古墳、高松塚壁画館と見て、1,300年の歴史を感じた。
高松塚古墳 玄武 壁画

ついでに近辺にある「中尾山古墳」も見てきた。 その横にある「文武天皇陵」もついでに。
中尾山古墳 文武天皇陵

次は「キトラ古墳」。 この古墳が、日本で2例しかない、石室に描かれた壁画の発見2例目。 古墳の年代自体は高松塚古墳よりも前に作られたと言われている。 キトラ古墳には「玄武」「朱雀」「青龍」「白虎」と四神が描かれており、上には国内最古の天文図も描かれていた。
そしてこの古墳がすごいのは、その壁画を発見~保存するまでのプロセス。

高松塚古墳は国内最初の壁画発見だったし、発見された1972年には技術的な事も知識的な事も未熟で、普通に外気に晒してしまい経過観察してたが劣化していってしまった。
その経験も踏まえてか、キトラ古墳は高松塚古墳よりも厳重に発掘調査などが行われていたようだ。

1972年に高松塚古墳の壁画が発見されてすぐ、近所の村人から「似たような古墳がある」という情報が届く。
それから10年経った1983年、地表からドリルを使って地面に穴を開け、鎌倉時代に盗掘にあった際に破壊された石室に開いた穴の一部まで貫通させ、そこからマイクロファイバーのカメラを入れる。
この調査にはNHKが協力し、カメラはNHKが用意したようだ。 髪の毛より細いマイクロファイバーを1万本束ねた、解像度3万画素のカメラで、初めて石室の中が映し出される。 古墳の周囲には研究者などが十数名集まって、モニタに注目していた。 そしてカメラが石室の北面の壁に描かれた丸い形の動物を映した瞬間「玄武だ」と声が上がった。 この「玄武」は高松塚古墳にも描かれていたが、発見時既に劣化が激しく、玄武の中心部分がよくわからなくなっていた。 それが綺麗に残っている。

そこからさらに15年月日が流れた1998年、技術も進歩し上下左右に向きを変えられるデジタルカメラを、石室内に挿入し、まだ見ることが出来ていない、左壁、右壁、天井を映し出す。 その際に「青龍」「白虎」「天文図」を発見。

さらに3年経った2001年、今度は360度向きを変えられる、つまり真後ろを映し出すことができる機材で、真後ろの壁を撮ったら「朱雀」を発見。
奇跡的に盗掘の際に開けられた穴が、朱雀からズレていたので、残っていた。 高松塚古墳でも朱雀が描かれてたと言うが、盗掘の穴が朱雀を直撃したらしく、朱雀は残っていなかった。

この調査に18年もかかったのも凄いが、本当に凄いのはここから。 既にかなり劣化していて、このままだと壁画が崩壊してしまうので、崩壊する前に取り外すことが決まった。 ただ国内で2例しか壁画が発見されていないし、古墳から取り外すのは前例がない。 研究者や識者達が集まって調査や方針を決める。

まずは壁画を劣化させないために、温度や湿度などを管理しなくてはならない。 石室を丸ごと囲えるよう、回りに保護施設を建築する。 保護施設の中は空調完備。 さらに石室の前に「前室」を作成して、外界とは完全にシャットアウトする。 その状態で、まずは石室が保護された。

壁画を取り外すために方法、補強、外す為の道具作成など、外すまでに色々な準備がされる。 そして外すのは人の手で外す。 僅か1cmでも手元が狂ったら、手で支えている壁画の漆喰が突然割れたらなど、ものすごい緊張感の中取り外し作業が進められる。 この作業の一部は、キトラ古墳に併設されている「キトラ古墳壁画体験館 四神の館」で映像として見ることができる。

壁画を全て取り外すのに6年。 今度は、それらを補強して1,000以上のパーツに分かれたものを全てつなぎ合わせ、壁画を消さないよう汚れを除去していく作業が行われた。
そうして今、壁画は厳重に保管され、年に数回一般公開されて見ることができるし、気軽にデジタル化されたものを見ることができるようになっている。

高松塚古墳が発見されてから、「似たような古墳がある」という情報が寄せられた、と書いてあるが、キトラ古墳たった1つの情報が来たわけではなく、全国各地から何百、何千という、同じような情報が寄せられたのだろうということは容易に想像できる。
初めてカメラを入れてから、全方位撮影できるまで18年。 玄武発見でワクワクしたが、朱雀発見を待たずに亡くなってしまった研究者もいることだろう。
自分がこうして気軽に見ることができるのは、人生を古墳に捧げた人たちがいるおかげなんだなと、しみじみと感じた。
キトラ古墳 キトラ古墳壁画体験館 四神の館 キトラ古墳

自転車で移動して、続いて「マラ石」「石舞台古墳」を見る。 石舞台古墳では、朝見た取材の人たちが来ていた。 受付の人に「新聞の取材で~」と言っていたので新聞なのかな? 誰だかわからないけど若い女性が一眼レフカメラを片手に石舞台古墳の回りを歩いて写真を撮る、というシーンを2台のカメラで映像を映していた。 監督っぽい人?が女性に「じゃあここからは自由演技で、適当に歩いて写真撮って下さい」と言っていた。
マラ岩 石舞台古墳

そして「亀形石造物」「酒船石」と見て回る。 受付の人が教えてくれたのだけど、「酒船石」の50mくらい手前に倉庫みたいなのが建ってるけど、ぜひその中を覗いて下さいと。 平成4年に発見された石垣の跡を復元していて、この石垣は「日本書紀で斉明天皇条の『宮の東の山に石を累て垣とす』『石の山丘を作る』という記事に該当する可能性が強く~」と書かれてる物ですと。 2年前に和同開珎より古い可能性のある硬貨を作る工場みたいなのも見つかったので、まだまだ眠っている遺跡は多くあると教えてくれた。
亀形石造物 石垣 酒船石

お昼を食べる場所を探しながら「飛鳥宮跡」「亀石」を見て、再び飛鳥駅前に戻ってきた。 お昼は結局チェーン店の「まいどおおきに食堂」になってしまった。
飛鳥宮跡 亀石 まいどおおきに食堂 お昼ごはん

お昼食べてからは「欽明天皇陵」「猿石」「鬼のせっちん」「鬼のまないた」「天武・持統天皇陵」「菖蒲池古墳」「明日香村埋蔵文化財展示室」「大官大寺跡」「藤原宮跡資料室」「藤原宮跡」と見学する。
欽明天皇陵 猿石 鬼のせっちん 鬼のまないた 菖蒲池古墳 藤原宮跡 藤原宮跡

橿原駅に到着したのは16時。 明日香駅で借りたレンタルサイクルは+200円払えば別の営業所で返却できる。 帰りは橿原駅からの方が都合がいいので、こちらでレンタルサイクルを返却。
楽しい明日香村観光は、かなり満足して終えることができた。

帰りは近鉄南大阪線で「橿原」~「大阪阿倍野橋駅」まで特急に乗る。 乗車券の他に特急券が必要で、特急券は520円だったが、各駅停車だと27駅がるが、特急だと僅か3駅なので、非常に快適だった。
大阪阿部野橋駅は「あべのハルカス」ある場所。 少し時間があるので大阪観光してもいいかなと思ったけど、主目的は奈良マラソンで、大阪は関係ないのでやめた……
地下鉄で「天王寺」~「難波」まで3駅。
特急

時刻は17時10分、帰りのバスは19時半出発なので、2時間ほど時間がある。 お昼が遅かったので全然お腹空いてないが、何か食べなくては。
「なんばウォーク」という場所で「珉珉」という中華料理屋でビール2杯と酢豚、餃子、ピータンなどを食べた。
餃子 酢豚 ピータン

19時半の高速バスで高松へ。 途中、淡路島の「室津PA」でトイレ休憩。 駐車場は結構混んでいたが、空いている場所があって、最初バスを止めようとしていたのに、止めずにもっと先の駐車場に移動していた。
トイレ行く時その理由が分かったのだが、空いているスペースの隣には「京都~高松」のバスが止まっていた。 目的地が同じ「高松」。 間違える人がいるから、目的地が同じバスの横には止めないんだな。

22時20分くらいにゆめタウン高松前のバス停に到着し、ココスに移動。
帰りは妻が迎えに来てくれるらしいので、コーヒーとプリンを食べてくつろぐ、流石にもうビールはいいや。
プリン

2泊3日で奈良マラソンと奈良観光に行ってきたが、奈良は歴史がすごくて、個人的には戦国や江戸時代の武将たちの時代よりも面白いんじゃないかなと思ってしまった。
その辺りの歴史を勉強して、また訪れたいと思う。

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