箱根駅伝の話

曇りときどき雨ここ数日で、ようやく箱根駅伝を全て見終わった。 結果から言うと、青山学院大学の2年連続優勝、そして39年ぶりの完全優勝。 完全優勝とは1区から10区まで、全ての中継所でずっとトップでゴールすること。
1区、去年と同じ久保田選手が走る。 だが、久保田選手は当日エントリー変更で走ることになった選手。 もともと昨年6区を走った村井選手だったのだが、体調不良により久保田選手が2年連続走ることに。 1区はハイペースでレースが進む。 ハイペースなので、だんだんと選手が振り落とされていく。 途中で、学生連合の山口選手がトップに出たり、日大の選手がトップに出たりで、仕掛けるが、いずれもすぐに吸収される。 久保田選手が一気に仕掛けて、そこから徐々に隊列が崩れていく。 久保田選手はそのまま逃げ切り、2区へ。 2位の明治大学は横手選手、昨年は5区を走っていたはず。

2区はエース区間と呼ばれている。 格好のエース級の選手や有力な外国人選手が名を連ねる。
注目されていたのは東洋大学の服部勇馬選手、山梨学院大学のドミニク・ニャイロ選手。 青山学院は2年連続で一色選手となっている。 そんなエース区間は、東洋大学の服部勇馬選手が制した。
が、1区で出遅れているため、2区が終わった時点で、青山学院とは1分以上の差が付いている。

青山学院の3区は秋山選手。 この選手初めて見るな。 脇毛が気になる…… 陸上選手は脇があらわになるので、毛を剃っている選手が多いが、この選手は剃ってはないようで、たすきを待つ中継所で手を上げているときに見えている脇が気になってしまった。
が、走りは素晴らしく、3区で区間賞を取った。

4区は田村選手。 この選手は今年2年生なのだが、去年も同じ4区を走っている。 見た目も話し方も、公務員ランナーの川内優輝選手に似ているなぁ、と思う。 走りは圧巻で、2年生なのに4区で区間賞。

5区は3代目山の神、神野大地選手。 去年、山登りの5区でとんでもない区間新記録を樹立して注目が集まったが、2015年は怪我などに悩まされて思うように走れなかったと、紹介されていた。 箱根にはなんとか体調が間に合って、同じ5区を走ることとなった。 が、去年の走りはやはり神がかっており、今年は1時間19分17秒という、速いは速いのだけど、ビッグニュースになるほどではなく、平凡な記録。 2015年だったら区間3位、2014年だったら区間2位タイ。 2015年の1時間16分15秒という記録には待ったく及ばなかった。
区間賞は日本大学のダニエル・キトニーが1時間18分24秒。 昨年もダニエル・キトニーは5区を走っており、1時間18分45秒だった。 去年の記録を越えて、今年は留学生初の区間賞獲得となった。

往路は青山学院大学が5区間中3区間の区間賞と、とんでもない速さでゴール。
2位の東洋大学とは3分4秒、3位の駒沢大学とは5分20秒も差がついている。


そして復路。 青山学院大学は、小野田選手。 なんと1年生で、選ばれている。
本人談では「変な走りをして迷惑をかけても、あとの上級生がなんとかしてくれる」という気楽な考えで挑んだ。
逆にその気楽な考えがプレッシャーなどをはねのけて、1年生なのに素晴らしい走りで山を駆け下りる。
区間2位の記録、かつ昨年までの区間記録タイで走った。 が、日体大の秋山選手が区間新記録の走り。 58分9秒で区間新記録を樹立。

7区は小椋選手。 なんと4年連続で7区を走るという。 慣れた7区で2年連続区間賞を獲得。 最後の方はかなり苦しそうだったが、それでも区間賞。 7区でかわいそうだったのが、上武大学の田中選手、1年生。 上武大学は芦ノ湖一斉スタートだったのだが、順位は20位と最下位になってしまっている。
田中選手はラスト2kmでかなりフラフラになり、時折胸を抑えながら苦しそうに走っている。 何度も前に転びそうになり、耐えて、胸を抑えて苦しそうにし、首が左右に振れて、それでも前に走り続け、また転倒しそうになって……
そんな状態でラスト2kmをなんとか走り切った。 解説の瀬古さんも、「完走出来てよかった」と安堵の言葉が出ていた。
残念ながらトップが通過してから20分経過してしまっているので、繰り上げスタートにはなってしまっている。

8区で注目されていたのは、駒沢大学の馬場翔大選手。 去年は5区を走ったが、先頭でもらったタスキが4位になってしまった。 低体温症でフラフラになりながら、区間17位の成績だった。 今年は4年生、最後の箱根駅伝で前回のリベンジが果たせるか、というのがすごい注目されていた。
その馬場選手は、区間3位という、堂々とした成績で最後の箱根駅伝を締めくくった。 顔には笑顔しか残っていなかった。

9区は、2区の裏返しでもっと注目されてもいいはずなのだけど、有力ランナーもおらず、あまり注目されていなかった。
一番盛り上がったのは、トップが通過してから20分後の、繰り上げスタート。
神奈川大学の選手が中継所への直線に入ってくる、残り20秒だった。 観客から「20秒だぞ」という声が飛ぶ。 その1km手前、監督から「残り1kmで3分で行けばつながる」と支持されていた。 が、23.2kmもある9区のラスト1kmを3分なんて、かなりのペースとなる。 最後の直線で、残り120mくらい? キロ3分なら100m18秒ペースなので、本当にギリギリの戦いとなる。
が、無情にも中継ラインの20mくらい手前で繰り上げスタートのピストルが鳴ってしまい、たすきは途切れてしまった。

10区、1位と2位は7分の差があり、よほどのアクシデントがない限り逆転は不可能な状況になっている。 2位と3位も2分半の差があり、こちらも普通では追いつけないくらいの差となっている。
となると、上位の順位争いよりも、10位以内に入れるかどうか、シード権争いが盛り上がる。
現在11位の日本大学が、10位以内に入れるかというのが注目されていた。
10位との差は、僅か58秒。 入れ替わる可能性が十分にあるタイム差だ。 だが、逃げる帝京と追う日大。 帝京もシード権ギリギリなのはわかっている。 10区の各ポイントでタイム差が計測されているのだが、1分18秒、1分37秒、1分55秒と、だんだんと帝京と日大の差が開いていく。 そしてそのタイム差を埋めることができず、日大は11位でフィニッシュ、シード権を逃すこととなった。

優勝は圧倒的な強さだった、青山学院大学。 タイムは10時間53分25秒と、前回の10時間49分27秒には及ばなかったが、これでも歴代4位?
そんな感じで、2016年の箱根駅伝は終了していった。

ここで走った選手たちが、丸亀ハーフにもエントリーしているはずなので、そちらも楽しみ。