今日は徳島の寒峰に1人で登りに行く。 天気は雨。 なので、5時間程度で上り下りできる寒峰を選んだ。
国道438号線を抜けて、吉野川沿いの国道を西に走り、県道44号線手前のミニストップまで1時間10分。 そこから県道44号線に入り、落合峠方面へ。 落合峠を越えて、国道439号線に着くまで、1時間40分… 予想外に、この峠を越えるのに時間がかかった。 バイクだったら落合峠まで45分程度、下るのも20分程度だろうけど、車だと約倍の時間がかかるのか…
おとなしく、国道438号線で見ノ越経由で来た方が早かったかも。
「八幡神社」方面に走っていき、神社を越えて2.6kmで「住吉神社」に到着。 ここが登山口になっている。
駐車場があると書いてあったが、わからなかったので、神社越えて林道20mほど走ったところにある路肩に駐車した。 ここが駐車場か?
準備をして、8時45分登山開始。
今現在の天気は雨。 時折強く降ってくる。
神社の横から登山道に入り、工事用の道にぶつかる。 工事用の道を歩いたり、横切ったりしながら進んでいくと、車道に出た。 ここまでは車でも来ることができるっぽい。
しかし、駐車場の先の林道に進んでいくのだろうか? あの先、めちゃめちゃ砂利道で悪そうな道だったが…
車道を横切り登山道を進む。 どんどん標高を上げていき、しばらくして福寿草の看板が見えてきた。 3月だと、福寿草という珍しい花を見ることが出来るみたい。 しかし植物には興味が…
さらに登っていくと、急登地点に着いた。 地図ではここでコースタイムが区切られているので、休憩していこうか。
しかし、雨なので、休憩するにしづらい。 おにぎりを1つ食べ、水分補給して先に進む。
今日は天気が悪いので、景色はあまりよくない。 写真も枚数が期待できないだろうなぁ。 なので、キノコでも撮ってみるか。
道を歩きながらキノコを撮る。 明らかにやばそうなキノコとかもあるが、キノコも全然種類がわからない。 触るだけでかぶれるようなものもあるらしいので、うかつに触れないし…
そんなことをしている間に、急登区間は終わり、尾根道に変わった。
尾根なので風が強い。 風が強いと雨粒が大量に落ちてくる。 しばらく歩き、一面の草原地帯に出た。
ガスがかかっていたが、反対側に「寒峰」と書かれた、幅1mほどの巨大な看板がある。 手前には「登山道」と書かれた、巨大な看板がある。 迷うのだろうな、ここ。
それを越えてしばらく登っていくと、石の柱があったので、ここで休憩。 コースタイムの区切りの地点がこの辺りだとおもうのだが、わからない。 とりあえず、ここだということにして、休憩。
ここから山頂までは40分となっている。
食料を食べ水分補給して山頂に向かう。
しばらく登ると視界が開けた。 辺りは草が結構な背丈で生えていて歩きにくい。 この時期だとあまり人が入らないのだろうか?
少し歩いたら山頂に到着。 当然誰もいない。 そして360度の展望は真っ白。 ここから三嶺や落合峠方面とかが見えるはずなのだが…… 見えるのは白い景色のみ…
雨をしのげる場所も無く、風も強いのでそのまま下山方向に向かう。
下山は落合峠方面に少し歩き、砂防ダムのほうに降りるコース。
落合峠への縦走路分岐から、下に降りて行く。
この辺りの草も背丈が高く歩きにくい。 そして地面はベチャベチャで滑る。
しばらく下ると、荷物用のモノレールのレールが出現。 しばらくレールと平行して下っていった。
時間的にも40分くらい降りてきたし、そろそろコースタイムの区切りの地点か?
ちょうど目の前に、ピンクテープの巻きつけてある木がある。 そして、進行方向の反対側に鋭角に道は繋がっている。
地図で見てもそうなっているので、なんの迷いも無くそちらに進んでいった。
あとで調べてわかったことだけど、これが全ての始まりだった…
そのまま道は続いておりどんどん下っていく。 雨はどんどん激しくなってきた。 手首から浸水し始めてきた。
カメラがヤバイと思い、ウエストポーチをリュックの中にしまう。 このウエストポーチのポケットにコンパスが入っていた。
これが判断遅れの一つの原因だったかもしれない。
道はだんだん緩やかになって、快適に歩いていく。
全く疑いはせずに、そのまま進んでいく。
時間的に30分ほど歩いたところで、鋭角に右側に道が進んでいるように見えた。 ちょうどその位置の木にピンクテープが巻きつけてある。 地図上でも、鋭角に曲がるようになっている。
で、進むべき道の先には空き瓶や空き缶が落ちている。 ここも何の迷いも無く曲がっていく。
そして歩くこと5分ほど、突然道が消えた。 テープが巻きつけてないか、探してみるが全く見つからない。 5分ほど付近をウロウロしてみたが、全く道が無い。 これは迷ったか?
とりあえず、迷ったら、来た道まで戻るのが鉄則なので、戻ることに。
曲がってきた鋭角のところまで戻ってきて愕然とした。 鋭角に曲がるほうは間違いで、道はそのまままっすぐ進んでいくのが正解のようだ。
このピンクテープ、反対側から歩いてきた時のための目印か?
道を取り戻し、そのまままっすぐ歩いていく。 しばらくすると、木の5段程度ののはしごがあり、徒渉するポイントがあった。 雨がけっこう降っているので、水の流れが激しい。 靴が濡れてしまう…
沢を横断して、そのまま道は続いていく。 2回目の徒渉点があった。 先ほどより水の流れは無い。
そこも越えて真っ直ぐ歩いていく。
しばらく歩くと、また木にピンクテープが巻きつけてある。 そしてピンクテープの真上に鎌が突き刺さっている。
道はそこから、右に鋭角に曲がっている。 本当の降りる道はここか?
真っ直ぐ進む道も見えるし、さっき道を間違えているので、どちらが正しい道なのかすごい迷った。
右に降りて行く道はとても乏しい。 しかし白テープやピンクテープが巻きつけてあるのが見える。
真っ直ぐ進む道は右に行く道よりもしっかりしている。 しかし目印となるテープが一つも見当たらない。
これは右に降りるのが正解か?
少し考えたが雨がさらに強くなってきたので、右の道を進むことに。
道が乏しく雨で緩んでいるためメチャメチャ歩きにくい。 かろうじて白テープを目印に進んでいく。 途中で広い場所に出たのだが、ここを最後にピンクテープが見えなくなった。 辺りにあるだろうと思って、ウロウロしながら目を凝らすがどこにもピンクテープは見当たらない。 かなり古そうな黄色テープは発見。
広い場所で、雨が強すぎて道がどこだかすらわからない。 とりあえずそのテープまで進む。 で、次のテープを探すが……これもなかなか見つからない。 とりあえず下に下りながら探して行く。
道っぽいところに出たので、降りてきた斜面を見上げると、古い青テープがついていた。 しかし今いる道、左右どちらに進めばいいんだ?
感じ的には、左から回り込んで降りてくるような感じなので、右に進むが正解っぽい。
とりあえず、左のほうに進んで、どうなってるか見に行ってみた。 すぐに倒木があったりしたので、これははずれだな。 右方向に進んでいく。
が、すぐに道を見失う。 やばいなぁ、これ。 本格的に迷いそうだ。
リュックからコンパスを出して道の方角などを確かめる。 歩いてきた道は北西を向いている。 今まで歩いてきたコース感覚と、地図を見る限り、もう少しで砂防ダム?
登山道は砂防ダムに向けて、北西方向に走っている。 なので、砂防ダムに向かってるものとしか思っていなかった。
そのまま進んでいくが、すぐに道は無くなる。 わからないので、とりあえずまた戻ってくる。
キョロキョロしていると、先ほどとは違う場所、上のほうに白いビニールテープが何個か巻きつけてあるのを発見。
さっきの広い場所から、こっちに降りてくるのが正解だったのか?
となると、右に回りこんで降りてきたので、左に進むのが正解? しかし左は道が無かった。 右も道が無かった。
よく見てみると、下に向かって道が見える。 白いテープも見える。 こっちが正解だったのか。
道なのか、道でないのかわからないようなところを下っていく。 ジグザグに下っていくし、木を切った跡もあるので、道なのだろう。
しかし、その道も下ること5分ほどで先がわからなくなった。 たぶん、ここから真下には下ってないな… となると右方向か?
少しそちらに歩いてみたが……愕然とする光景が目に浮かんできた。
目の前にあるのは沢。 幅は5mほど。 しかし真っ茶色な濁流が流れている。 とても渡れそうにはない……
自分の中では、この沢を渡ってしばらくしたら林道にでるので、駐車場まであと30分くらいの場所にいるはずだった。
しかし、今立っているこの道が合っているのかわからない。 しかも無理して沢を渡ったところで、その先に道がある保障がない… 今いる場所が確実に道なら、先に道がある可能性はあるのだが……
かなり大きな賭けだな……これ。
ちょっと気を落ち着かせて今までの道のりをもう一度考え直してみた。
やはり、木に鎌が刺さっていた地点から、どうも間違っているような気がする。
だけど砂防ダムのところには沢が流れており、そこから駐車場までは30分。
無理して進むべきか、戻るべきか葛藤と戦う。
山の大原則として、「道に迷ったらわかる場所まで戻る」「迷ったら決して沢には降りるな」というのがある。
山で道に迷って下に降りて行くうちに沢に出る。 沢を降りていったらだいたい滝がある。 無理して滝を降り転落、というパターンが非常に多い。
だが、この沢を越えたら駐車場まで30分……
そして決意した。 戻ろう。
とりあえず、今いるこの、沢の真横は危険なのでいったん斜面に引き返し、今降りてきた道を登り返す。
降りてきたはずの道なのだが、足跡などは消えており、違う道を登ったのかもしれない。
だが、コンパスを出したあたりまでは戻ってくることができた。 しかし、ここまでどうやって降りてきたかなぁ…
乏しいテープを頼りに降りてきたような気がする……
上を見てテープを探すが、まったく見当たらない…… とりあえず斜面を登るか…
道なのかわからないところをひたすら登る。 上に登れば道はあるはず。
少し登り、道らしきものを発見。 折れた木だけど、白いテープが巻きつけられているのを発見した。
そのテープ通りに進んでいくが、すぐに道を見失う。 まいったなぁ……元いた場所までも戻れない感じになってきた……
とりあえずそのまま横方向に歩いていくが、道は全くない。 そしてまた沢に出くわした…
ただ、今度の沢は濁流ではなく、水位が30cmほどなので、渡ることはできる。
沢の反対側にはピンクテープを発見。 とりあえずそこまで行った。
そこからあたりを見渡すが、テープどころか道らしきものすら見当たらない。 このピンクテープはどこから来てどこへ向かっているんだ?
地図を広げるが全く現在位置がわからない。 先ほどは圏外だった携帯電話の電波が入っていることに気づいて、携帯のGPSで現在地を調べてみる。 測位レベル2、50m~300mほどの誤差がある。
そして地図上で現在地を確認したら……
想定していた場所と全く違う場所にいるではないか…… 目を疑った。
誤差が最大で300mあるので、もしかしたら、もっと南にいるのかもしれない、と思ったが、どう見ても300mじゃ想定しているルートには届かない。
しかも地図上に、今いる場所に道は描かれていない……
鎌の刺さっている木の場所から、2時間以上経過している… 時刻は14時30分。
どうするべきか…… とりあえず妻に迷った旨を伝えた。 すぐ電話がかかってきたが、もしものときに携帯の電池が命綱なので、すぐ電話を切った。
とりあえず119番に電話をするか… 現在地がわからない以上、無事に帰るには登ってきた道を降りるしかない。
行ったん山頂まで戻ることを考えたら、下山に使った道のわかる地点までたどり着ける時間的な猶予は、あと2時間ほどしかないだろうか。 それ以上かかったら、今日中に下山はできないかもしれない…
食糧や水分はあるが、ビバークする道具を持っていない。 皮肉なことに、昨日ツエルトを購入したのだが、今日は持ってきていない……
軽率な気がしたが、119にかけて相談することにした。 対応してくれた人にGPSで表示された緯度経度を知らせ、折り返し電話をくれると。
折り返しの電話がかかってくるまで10分ほど。 ものすごい土砂降りを遮りたかったのだが、雨にぬれないような場所がない。 あまりウロウロして怪我したり、携帯の電波がつながらなくなってしまったら困るので、その場にしゃがみ込んで待つしかなかった。
折り返しの電話があり、どうすべきか相談したところ「時間的な余裕はまだある、絶対に下に降りないように、上に登れ」と。 やはりそうだね。 考えが一致したというか、それしか方法がない。
この辺りの沢で事故が起こったこともあったそうだ、消防署の人が言っていた。
焦らないように気持ちを落ち着かせているつもりでも、やはり心は焦ってしまう。 とりあえずおにぎりとお茶を飲んで休憩するか…
鎌の刺さっている木から、沢は一つも越えてないと思ったので、再び沢の西側に戻り、そこから直登することにした。
幸いなことに、斜面は笹などに覆われていないので、めちゃめちゃは苦労せずに登ることができた。 ただ急なことと、足元が緩んでいるのがつらかった。 すぐに息があがる… けど登るしかないし…
さきほどの携帯GPSで表示された地点から直登して、稜線にある登山道まで登りきれば間違いなく帰れる。 しかしそこまでの標高差は350mもある。 道のない斜面だと、1時間で120m上がれるかが微妙なところだろう……今までの経験からすると……
覚悟は決めた… ひたすら登るしかない… 何度も息を整えながら斜面を上がっていく。 右側に先ほどの沢が見える。 上から見るとけっこう大きいな… なるべく沢に寄らないよう意識しながら上を目指す。
登ること30分ほど、はっきりとした道に出た! ただ、この道がどこの道だかわからない。 右に歩いていったら先ほどの沢方面に行ってしまうだろうから、左に進むか。 どうか道がつながっていてほしい…
そして歩くこと5分ほど、鎌の刺さっている木だ!!
ようやくここまで戻ってくることができた。 とりあえず一安心だ。 消防署に「知ってる道までたどり着いた」と連絡を入れた。
さぁ、山頂まで登り返そうか…… 途中に徒渉ポイントが2か所あったはずなので、そこが増水していないか心配だったが、2か所とも大丈夫だった。 歩くこと40分ほど、荷物用モノレールの場所まで戻ってきた。
さすがに疲れたのでここでパンを食べる。 残りはおにぎり1つと、チョコが1箱。 コーンスープ2袋にコーヒーが2杯分、、真水2Lにお茶が500ml。
レインコートを着てるのだが、激しい雨に長時間打たれていたためけっこう中が濡れてきている。 どこまで耐えられるんだ? レインコート。
先ほど降りてきた道をひたすら登り返す。 こんなに傾斜きつかったっけ? こんなに長かったっけ?
ここにきての登り返しは相当こたえる…… そして落合峠縦走路の分岐までやってきた。
寒峰山頂は近い。
16時37分、再び寒峰山頂に到着。 下山は2時間程度でできると思うので、なんとかヘッドランプを使う時間までには戻れそうだ……
しかし登り返しで膝に相当のダメージを受けた。 下りがきつい…
来る時通ってきた巨大な看板の地点を通りこし、緩やかな道を通りこし、フクジュソウ園付近のコースタイムが区切れる地点まで降りてきた。 疲れた… ここで休むか…
お腹はすいていないので、チョコをむさぼる。 コースタイムではここからあと40分。 ここでお茶をすべて飲み干した。 後は真水が2Lだが、十分か。
フクジュソウの看板を通り過ぎ、林道を通り過ぎ、作業用道路を通り過ぎ、ようやく神社に到着。
時間は18時48分。 暗くなる30分前だな……
無事下山したことを消防署に連絡した。 「高松までも遠いけど気をつけて帰って」と言われた。
消防署の人は、最初に電話した時から、30分に一度くらい連絡をくれて、「現在どんな状況か」とか聞いてきてくれた。
その電話がけっこう励みになってきつい登り返しも登れたし、無事ここまで下山できた。
ご迷惑おかけしました。
帰りの車は落合峠を走るのではなく、439、32号と走り、財田の方から帰ってきた。 家に着いたのは21時半くらい。
予定では17時には家に帰る予定だったのになぁ……
皮肉なことに、高松では一滴も雨が降っていないらしい……
寒峰ではあんなにどしゃぶりだったのに……
家に帰ってからインターネットで、寒峰の情報を調べてみた。
すると意外にも同じ下山路で迷ってる人がけっこういる見たい。
数年前には、同じ下山路で道に迷い、沢に転落する死亡事故も起こっていた。
山に持って行っている地図は5万分の1の地図なのだが、国土地理院の2万5000分の1の地図を見たら、オレが迷っていた付近の道が載っていた。
そして、迷っていた場所は、予定していた下山路とは全く別の場所だった。
濁流になっていた沢は、おそらく「オノゴエ谷川」という沢。 登ってくるとき右に見えていた沢は名前もついていないような沢かな?
モノレールの分岐あたりでコンパスを出していたら全然違う方に迷い込んでいなかったかもしれない。
しかし濁流の沢を無理して渡らないで正解だった。 渡ったところで道はつながっておらず、下山口ともほど遠い。 また危険を犯して渡り直すか、無理やり上に登っていくしか選択肢がなくなっていたかもしれない。
「迷ったらわかる場所まで戻れ」「迷ったら下には降りるな、上に登れ」
頭では十分理解しているつもり。 だが、実際その場面に出くわしたら「もしかしたらもうすぐ車道に出るかも」、「この道であっているはずだ」という楽な方に楽な方にと考えてしまう。
実際登り返す決断を下すのはすごい辛いことだし、登り返す勇気も体力も気力もいる。
けれど、登り返すことが一番安全に一番早く帰る方法なんだね、やっぱり。
しかし長いこと山に登っているが、ここまで激しく道に迷ったのは初めてだ。 大雨だったのが多少は影響しているのかもしれないが…
しかも山に関係なく、119に自分で電話したのも初めてだ。
後々考えてみたら、道に迷ったりした場合は119じゃなくて、110のような気もしてきた。
とりあえず、2万5000分の1の地図を持っていかないでもいいけれど、行く前に必ず地形とルートを確認していくことを徹底しよう。 5万分の1の地図には載っていない道が載っていた。
本日のコースタイム
08:45 駐車場
09:47~09:58 急登手前
10:55~11:04 笹原入口?
11:29 寒峰山頂
11:41 落合峠方面分岐
12:16 荷物用モノレール付近
14:30 119連絡
15:38 荷物用モノレール付近
16:37 寒峰山頂
17:05 笹原入口?
17:48~17:52 急登手前
18:48 駐車場
【徳島】寒峰、道迷い
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