東京マラソンのこと

晴れ小中学校は今日が最終登校日、高校は今日から休みという、地獄の前倒し春休みに突入。 学校がある期間は15時位までは平和だったのに、これからはずっと騒がしい日が続くのと、一番集中している15時までの間の時間に、昼ごはんを作ってあげなくてはならないという苦行が待ち受けている。
仕事が10時からなので、まだ10時過ぎとか、もしくは14時近ければいいのだけど、集中が持続する時間帯の、ちょうど真ん中らへんの時間が奪われるので、ダメだなこりゃ。

昨日のうちに見終えたのだけど、東京マラソンは熱かった。 新型コロナウィルス感染防止で、全国のマラソン大会の中で真っ先に一般参加の中止が決定した東京マラソン。 その東京マラソンが中止を決定したせいで、地方や他のエリアの大会が中止せざるを得なくなった。 東京マラソンって、いてみたら王様のような感じなので、東京マラソンが中止しているのに、他の大会が開催されるなんてありえない。 行政も絡んでいるし、日本人特有の右向け右な思想なので、非常に残念だ。
で、一般参加は中止になったけど、オリンピック選考レースも兼ねているし、豪華海外招待選手を呼んでいるし、ワールドマラソンメジャーズという、世界6箇所で行われるマラソン大会のポイントランキングにも参加しているので。 テニスやゴルフで言う、4大大会と同等のレースになっているのだ。

東京オリンピックの男子マラソンは3枠あり、昨年9月のMGCで富士通の中村選手、トヨタの服部選手が内定している。 残る1枠をかけた争いなのだけど、第3候補として残っているのがプロランナーの大迫選手。 大迫選手はMGCで3位だったので。 今日の東京マラソン、来週のびわ湖毎日マラソンで残る1枠が決定する。
選ばれる条件としては、残る2つのマラソン大会で、2時間05分49秒以下で走った一番速い選手となる。 このタイムは日本記録を1秒上回る記録だけど、日本記録を出すのが条件ではなく、2年間かけて行われてきたMGC選考レース期間中に出された記録で一番速いのが2時間05分50秒だったので。
ちなみに女子の条件も同様で、基準タイムは2時間22分22秒だった。 これも2年の間に出された最速の記録だ。 ちなみに女子の日本記録は2時間19分12秒なので、日本記録が条件ではないことがわかる。

オリンピック出場を狙っている男子ランナーは、日本記録を出すことが最低条件となっている。 マラソン男子の日本記録は2002年のシカゴマラソンでカネボウの高岡選手が出した2時間06分16秒が長い間残り続けていた。
2018年の東京マラソンで、ホンダの設楽選手が2時間06分11秒を出し、16年ぶりに日本記録を更新。 その半年後のシカゴマラソンでプロランナーの大迫選手が2時間05分50秒を出した。
日本記録ってだけですごいのだけど、長年塗り替えられなかった記録なので、抜くのは容易ではない。

そんな東京マラソンだが、レースの内容は省くけど、大迫選手が全体の4位、日本人1位で、2時間05分29秒の日本記録を叩き出した。 「先頭集団は意識せず、自分のキャパシティを超えない走りを意識した」とインタビューで言っていたけど、その言葉が語るように、20kmくらいで先頭集団から遅れていった。 一方、MHPSの井上選手は先頭集団に食らいついていった。 結果、自分のキャパシティを超えないギリギリのペースを保ち続けていった大迫選手が、大きなペースダウンもせずにゴールする形になった。
ゴール前、ラスト100mくらいで、両手を叩いて右手を上げて喜び、最後の直線でも喜びを爆発させていて、ゴールテープを切る瞬間は雄叫びとガッツポーズをしていた。
この喜びの仕草がなければ、あと1秒くらいタイム縮められたんじゃないかと思ってしまったが、こういう世界で戦っている人たちは違う気持ちなんだろうな。
大迫選手のオリンピック第三候補というのは変わらないのだけど、基準タイムが2時間05分49秒から、2時間05分28秒へと、変わった。 残るは来週行われるびわ湖毎日マラソンだが、このレースは例年強い風が吹き、ペースも2時間9分とかそれくらいなので、有力選手も出ないし日本記録は出ないだろう。

大迫選手が注目されていたけど、個人的には日本人2位になった、ヤクルトの高久選手が気になった。 栃木県の那須拓陽高校→東洋大学→ヤクルトと進んだ選手で、東洋大学時代はホンダの設楽選手の後輩になる。
設楽選手とは仲がよく一緒に練習したり、年始のニューイヤー駅伝では同じ区間を走り、設楽選手に追い越されたときに、設楽選手からハンドサインで「後ろについてこい」と合図され、結局はついていけなかったのだけど、最後の最後で抜き返したというエピーソドもあり、今は女子プロランナーとして頑張っている下門美春選手は高校時代の先輩で、よくいじられているイメージがあり、9月のMGCにも出場している。
走りのフォームはスマートな感じではないのだけど、腕を横に振るワイルドな走りを見せてくれる。
こう言うと悪いが、あまり知名度もなくパッとした成績も残していなかった高久選手が日本人2位、タイムはなんと2時間06分45秒、日本歴代4位の記録を叩き出した。

他の選手達もすごく、マラソンで2時間07分台ってのが速い記録の基準になるのだけど、2007年12月に今は解説で活躍している中国電力の佐藤監督が出した2時間07分13秒を最後に、しばらく出ていなかった。
2012年2月の東京マラソンで、当時所属なしの無職、今ではプロランナーと言われるかもしれないけど、藤原新選手が2時間07分48秒を出し「東京マラソン男」ともてはやされた。 ロンドンオリンピック選考中で、当時から話題だった公務員ランナーの川内選手、佐川ホールディングスの山本亮選手も含めて、日本のマラソン低迷期、実業団を馬鹿にする意味で「ロンドンオリンピックは無職、公務員、佐川でいいじゃないか」と言われたこともあった。
それから3年、2015年の東京マラソンではトヨタ自動車九州の今井選手が2時間07分39秒。 今井選手は箱根駅伝初代山の神。 二代目柏原選手、三代目神野選手と並んで、再び話題になっていた。
それからさらに3年、2018年の東京マラソンで設楽選手が07分台どころか、06分台の日本記録を更新した裏にMHPSの井上選手がひっそりと2時間06分54秒を出していた。 これは当時の日本歴代4位の記録なのだが、日本記録一色で全然話題にならなかった。
2018年10月のシカゴマラソンで、大迫選手が2時間05分台の日本記録を更新した裏で、トヨタの藤本選手も2時間07分57秒の07分台。 2018年12月の福岡国際マラソンではトヨタの服部選手が2時間07分27秒。
2019年は記録が出ず、今日の東京マラソンに至る。 こうやってリストアップすると、2007年から2020年の13年の間に05分台が1人、06分台が2人、07分台が4人しか出ていない。
それなのに、今日の東京マラソンでは、05分台が1人、06分台が2人、07分台が6人も出ている。
最近では一般人にも広く認知されてしまったNIKEの「ヴェイパーフライ」「アルファフライ」などの、いわゆる「厚底」のシューズの進化の影響もあるのだけど、それ以外にも科学的なトレーニングとか、東京オリンピックという大きな目標がモチベーションになって記録が出ているのは間違いない。